●緑と公園課が伐倒候補を提示
9月30日の雑木林連絡会(臨時会)で、ナラ枯れ感染抑止と倒木リスク回避のために各緑地で伐倒処理する候補木のリストが、緑と公園課から提示されました。同課職員と複数の造園業者が協力して調査した結果という説明でした。ただ、リストアップ基準が必ずしも統一されおらず、伐倒の必要度(切迫度)にはかなりの幅があるように思われました。
たとえば、若葉町3丁目樹林(第1緑地と第2緑地)では51本(Y 家跡地の4本を含む)が伐倒候補とされましたが、その中には①フラスは出ているが葉の枯れには至っていない個体、②昨年フラスが大量に発生したが、今年は樹液を出しつつ新葉を付けて新たな感染が見られない個体も少なからずあります。また、葉が同じように全枯れ状態に至っていても、倒木や太枝落下時に近接する道路上の人や車・住宅等に被害を与えかねない個体は、伐倒作業の優先度がより高いと考えられます。
●市の候補リストの約五分の一を「伐倒やむなし」と判断
緑と公園課で作成したリストは伐倒費用をまかなう補正予算要求のための資料という性格もあるため、私たちは「樹林の持続可能性」「樹林の生物多様性(維持)」という観点から、10月26日に現場を踏査し、個々の樹木の罹患状態と周囲への影響を慎重に評価して、「伐倒処理やむなし」とする個体を選びました(下の配置図。樹木番号は平成26年に市が実施した毎木調査による。)。
ただし、フラス発生などナラ枯れ罹患が確認される個体には、来春にかけて有効な感染拡大防止策を講じることが条件です。病気の木を漫然と放っておいてよいのではありません。
その結果、若葉町3丁目樹林では合計11本(第1緑地で1本、第2緑地で10本)が「伐倒やむなし」に該当すると判断しました。樹種はクヌギとシラカシ各1本を除いてコナラです。
また11本のうち3本は、大坂または六別坂(いずれも市道)上に太枝が被さっているため、強風時の落下リスクが高いと判断しました。これらは優先的に伐倒する必要があると思われます。
以上の調査と判定は、若葉の森3・1会代表の衛藤譲二さんを大村哲夫(この記事の筆者/若葉緑地の会代表)が補佐して実施しました。そして、10月28日付で結果を緑と公園課に文書(電子メールと添付ファイル)で報告しました。
なお、若葉町3丁目樹林の伐倒処理木の選定については、予め調査した結果を11月7日の若葉の森3・1会の保全活動日に説明し、同会メンバーの了承を得たのちに11月上旬に緑と公園課に報告する手順となっていました。
しかし10月23日に緑と公園課・塚田課長から、補正予算案確定のため「残存させたい木の選定結果を10月28日正午までに知らせてほしい」旨の要請がありました。そのため、予定を急遽繰り上げ、同会メンバーの了承を得ないまま同課への報告に至った次第です。11月7日には衛藤さんから説明がなされるはずですが、何分この点をご理解ください。
私たちの判定結果は、補正予算の資料とされるだけでなく、今後のナラ枯れ対策の上で十分尊重されるものと考えます。万一、伐倒処理木の選定について市やその委託業者の判断と私たち保全団体の判断が異なる場合は、その理由の説明と処置についての協議が不可欠と考えています。
10月26日の踏査と判定についても、本来ならば緑と公園課および委託業者と私たちが立ち会って意見をすり合わせつつ実施すべきなのに・・・と思わず愚痴がでてしまったことでした。なにしろ、これは生きものの「いのち」に関わることなのですから。
●入間2丁目樹林でも多数の伐倒処理が避けられない
旧NTT研修センタ南側(現在は学校・高齢者施設・マンション等立地)の周囲を囲む入間町2丁目樹林(西地区・南地区・東地区)でも、ナラ枯れの被害が拡がっています。これらの緑地については衛藤譲二さんが詳細な調査を積み重ねていますが、緑と公園課はこれらの緑地の伐倒/残存すべき樹木についても10月28日までに選定するよう衛藤さんに要請しました。
衛藤さんは要請にこたえて、上記の若葉町3丁目樹林における踏査と同じ考え方で、伐倒が避けがたい樹木を下記のように選定し、結果を図入りの詳細な冊子にして緑と公園課に詳細に提出されました。入間町2丁目樹林は、ご承知の通り若葉町3丁目よりもはるかに広大であり、その調査と結果のまとめがどれほど手間のかかる作業であったか、想像に難くありません。
西地区 12本 南地区 10本 東地区 12本 合計34本
大村哲夫(雑木林連絡会/若葉緑地の会)