4月30日のナラ枯れ対策(カニ山では)

みのりの家を借りファイルトラップを11組作成。カニ山の樹木への取り付けにあって下記のような観点で行った。

 1度カシナガの穿入を受けた樹は、敬遠される傾向がある。 トラップ取付け対象はこれまでにカシナガ の穿入を受けていない(フラスの見られなかった)樹とする。

 カニ山は被災3年目を迎え、会の調査によればカニ山区域のブナ科の対象木数は約220本、穿入された(フラスの発生した)樹はこの2年で120本以上、全く被災していない樹はもう100本も無い。当初他所から飛来した集団は無垢の220本のうち20本くらいに穿入した。

 2年目の昨年は前年に罹災した20数本の樹から脱出した成虫が100本の樹に穿入した事になる。5倍5倍の倍々ゲームとすると100本から飛び出しても、この森に無傷の樹は100本も無い。この集団にとってこの森のマスは既に小さすぎる状態になったのかも知れない。

 罹患木も関係なし、構わず穿入してここで家族を作るのか。 集団の生存に耐えるマスを探して集団で移動するのか。どういう展開を見せるか注目したい。そのためにも成虫の捕獲状況の変化、フラスの発生状況、穿入孔の計など、目視調査で分かる変化を観察したい。

 カシナガトラップも沢山仕掛けるに越したことは無いが、清掃、水の交換、捕獲数のカウントとメンテナンスが結構大変。 会の能力から推して取付け数は5、6カ所程度が適量と思う。 マスアタックの兆候が見られたら、その樹にトラップを集中し、被災が無いと思われる樹のトラップは外して他に移す、など柔軟に進める。

 観察ポイントは多いほどいいが、メンテの実力を越えては結果何も得られない。従って虫の通り道になりそうな場所で、アタックを受けた樹に囲まれているのに何故か無傷の対象樹木が固まっている場所に4本ずつ2か所とキャンプ場の炉の傍の樹液を出して防戦しているクヌギ(罹患木だがクヌギはこの樹1本だけなので)にも仕掛け、計9本に取り付けた。

 当該樹の腰高あたりに位置を決め、ファイルトラップの背面をタッカーで打ち付ける。 下部シール端を摘まみ上げ衝突版下部と合わせてホチキスで固着する。 受け容器を下から差し込み両端をクリップで止める。 洗剤水を溢れるギリギリまで入れる。 この時期コナラ等の花穂柄が入ってすぐに液が汚れる。その掃除、水替えがかなり忙しい。 捕獲数をカウントするようになれば更に大変になる。 今シーズンはカシナガ対策として、周期的に会員で見まわることにする。(瀬本)

カニ山(深大寺自然広場)のナラ枯れの現状に思う

―カニ山のナラ枯れの状況をわかり易く色分けして図にしてみました。

カニ山でカシノナガキクイムシの穿入が始まったのは昨年の事です。

キャンプ場のカマドの附近、踏圧で裸地化した区域のコナラが集中的に攻撃されました。カニ山の会の記録では、カマド付近で15本、南斜面下で3本、東側で3本が罹患、そのうち枯れ程度の最も進んだ10本ほどが伐採されました。会の活動エリアである東端の樹林では、コナラ41本の内、フラスを確認したのは2本(5%)でその内の1本は僅かに枯れ始めた程度だったので伐採はありませんでした。 

 罹災2年目の今年はどうでしょう。罹患木(フラスが出ているもの)は一気に28本(68%)に増加、昨年1本だった枯れは11本(11倍)に増大してしまいました。

ひきずり坂より東側(カニ山)では、図でも分かる通り枯れが全域にわたって拡がっています。数量的に申しますと、この区域には243本のコナラがある事になっていますが、この間に「会」として目視確認できたのは223本です。 

その内カシナガに穿孔され罹患したのは127本(60%)、やや枯れ、半枯れが23本、全枯れ64本と合わせて87本(40%)が枯れてしまいました。

直ぐに倒れたりはしないまでも、樹冠部の枝先が枯れ始め腐朽枝の落下がすでに起こっています。 

 ひきずり坂側の崖面や、キャンプ場南の緩斜面、人家に面した東樹林南面などは、早急に処置する必要があると考え、緑と公園課からの49本の伐採及び枯れ枝を切り落とす提案を了解し、併せて最近になって急速にフラスが増えている樹、急に枯れが進んでいる樹、通路や人家際の罹患した危険木など追加措置を要請しました。

 この地域で初めてカシノナガキクイムシによるナラ枯れが起こったのは昨年2020年です。 

私達も初めてのことで、フラスや穿入孔に気付いたのはもう夏を過ぎた頃でした。 

そして迎えた被災2年目の今年、50本ものコナラを処分せざるを得なくなり、来年は、もっと拡大する事だって十分予測されているのです。こんな事態を誰が想像していたでしょう。

カニ山がこんな事態に陥るなど誰一人予測していなかった頃の事です。入間や若葉町に続いて深大寺自然広場(カニ山付近)の「崖線樹林地の保全管理計画」の調査策定作業が行われていました。「会」が保全活動をしている東樹林も大径高木化が進み(先行して伐採したコナラは年輪で70余年を数えた)、天を被う樹冠が年々競り上がり、暗くなるばかりの森では林床の植生が貧弱になって来ます。たまたま台風などで樹冠に隙間が出来たりすると、やはり林床に陽光の注ぐ森にしないと自然の豊かな森にはならないと感じていました。 

 しかし都の所有である樹を伐る事は出来ないし、大径高木化が進む樹林は年々素人の手に負えなくなるばかりという状況で、都市近郊の雑木林の保全管理はどうあるべきなのか、ボランティアに何が出来るのか・・・活動しながらも常々考えたものでした。

「崖線樹林地の保全管理計画」深大寺自然広場版が策定・発表されたのはそんな時だったのです。この計画の最大の特長は、雑木林の更新という新たなテーマが加わった事だと考えています。伐採を含む倒木跡等に実生育成の苗を植樹し、年計画で更新して行くというものですが、これまでの触らずいじらずの保全方針に比べ、非常に画期的な方針が出されたと捉えていました。

しかし新たな保全計画がスタートを切ったその年にナラ枯れが起こり、嫌も応もなく当該年度に10余本、2年度目で更に50余本を伐採せざるを得ない事態に至っているのが実情です。

見方を変えれば、雑木林を蘇らせる絶好のチャンスかも知れません。

保全計画の検討を進めた、樹林という根本の状況が激変してしまった今日、早急に政策的な検討を再開し実情に基づいた、深大寺自然広場全体の開発・保全計画を策定し直す必要があると思います。

かに山の会 瀬本敏行

若葉町3丁目樹林のナラ枯れ11本の伐倒やむなし 入間町2丁目樹林の34本も

若葉町3丁目第2緑地を若葉小学校正門付近から望む。枯葉が見えるのは、ほとんど全枯れ状態のコナラ。2021年10月26日撮影

●緑と公園課が伐倒候補を提示
 9月30日の雑木林連絡会(臨時会)で、ナラ枯れ感染抑止と倒木リスク回避のために各緑地で伐倒処理する候補木のリストが、緑と公園課から提示されました。同課職員と複数の造園業者が協力して調査した結果という説明でした。ただ、リストアップ基準が必ずしも統一されおらず、伐倒の必要度(切迫度)にはかなりの幅があるように思われました。

 たとえば、若葉町3丁目樹林(第1緑地と第2緑地)では51本(Y 家跡地の4本を含む)が伐倒候補とされましたが、その中には①フラスは出ているが葉の枯れには至っていない個体、②昨年フラスが大量に発生したが、今年は樹液を出しつつ新葉を付けて新たな感染が見られない個体も少なからずあります。また、葉が同じように全枯れ状態に至っていても、倒木や太枝落下時に近接する道路上の人や車・住宅等に被害を与えかねない個体は、伐倒作業の優先度がより高いと考えられます。

●市の候補リストの約五分の一を「伐倒やむなし」と判断
 緑と公園課で作成したリストは伐倒費用をまかなう補正予算要求のための資料という性格もあるため、私たちは「樹林の持続可能性」「樹林の生物多様性(維持)」という観点から、10月26日に現場を踏査し、個々の樹木の罹患状態と周囲への影響を慎重に評価して、「伐倒処理やむなし」とする個体を選びました(下の配置図。樹木番号は平成26年に市が実施した毎木調査による。)。

 ただし、フラス発生などナラ枯れ罹患が確認される個体には、来春にかけて有効な感染拡大防止策を講じることが条件です。病気の木を漫然と放っておいてよいのではありません。

 その結果、若葉町3丁目樹林では合計11本(第1緑地で1本、第2緑地で10本)が「伐倒やむなし」に該当すると判断しました。樹種はクヌギとシラカシ各1本を除いてコナラです。

 また11本のうち3本は、大坂または六別坂(いずれも市道)上に太枝が被さっているため、強風時の落下リスクが高いと判断しました。これらは優先的に伐倒する必要があると思われます。

 以上の調査と判定は、若葉の森3・1会代表の衛藤譲二さんを大村哲夫(この記事の筆者/若葉緑地の会代表)が補佐して実施しました。そして、10月28日付で結果を緑と公園課に文書(電子メールと添付ファイル)で報告しました。

 なお、若葉町3丁目樹林の伐倒処理木の選定については、予め調査した結果を11月7日の若葉の森3・1会の保全活動日に説明し、同会メンバーの了承を得たのちに11月上旬に緑と公園課に報告する手順となっていました。

 しかし10月23日に緑と公園課・塚田課長から、補正予算案確定のため「残存させたい木の選定結果を10月28日正午までに知らせてほしい」旨の要請がありました。そのため、予定を急遽繰り上げ、同会メンバーの了承を得ないまま同課への報告に至った次第です。11月7日には衛藤さんから説明がなされるはずですが、何分この点をご理解ください。

 私たちの判定結果は、補正予算の資料とされるだけでなく、今後のナラ枯れ対策の上で十分尊重されるものと考えます。万一、伐倒処理木の選定について市やその委託業者の判断と私たち保全団体の判断が異なる場合は、その理由の説明と処置についての協議が不可欠と考えています。

 10月26日の踏査と判定についても、本来ならば緑と公園課および委託業者と私たちが立ち会って意見をすり合わせつつ実施すべきなのに・・・と思わず愚痴がでてしまったことでした。なにしろ、これは生きものの「いのち」に関わることなのですから。

●入間2丁目樹林でも多数の伐倒処理が避けられない
 旧NTT研修センタ南側(現在は学校・高齢者施設・マンション等立地)の周囲を囲む入間町2丁目樹林(西地区・南地区・東地区)でも、ナラ枯れの被害が拡がっています。これらの緑地については衛藤譲二さんが詳細な調査を積み重ねていますが、緑と公園課はこれらの緑地の伐倒/残存すべき樹木についても10月28日までに選定するよう衛藤さんに要請しました。

 衛藤さんは要請にこたえて、上記の若葉町3丁目樹林における踏査と同じ考え方で、伐倒が避けがたい樹木を下記のように選定し、結果を図入りの詳細な冊子にして緑と公園課に詳細に提出されました。入間町2丁目樹林は、ご承知の通り若葉町3丁目よりもはるかに広大であり、その調査と結果のまとめがどれほど手間のかかる作業であったか、想像に難くありません。

西地区 12本 南地区 10本 東地区 12本 合計34本
大村哲夫(雑木林連絡会/若葉緑地の会)

2021年 若葉の森のキンラン

大村 哲夫(雑木林連絡会/若葉緑地の会)

●最も早い開花
「若葉の森」(若葉町3丁目の国分寺崖線樹林)では4月4日にキンランの開花を確認しました。昨年(2019)は4月11日、一昨年(2018)は4月8日、それ以前の2015年までは4月20日以後に開花を確認。私は10年あまり当地のキンランを観察していますが、大づかみに言って、10年前は大型連休中がキンランの「花見」シーズンだったのが、ここ2、3年は10日から2週間も早くなっている感じです。今年は連休初日の29日現在、学生寮脇(開花がいつもやや遅れる)を除いて、花はほぼ終わっています。

キンラン開花確認 2021年4月4日撮影
ほぼ満開 2021年4月10日撮影
満開 2021年4月19日撮影

●3月の気温が開花時期に強く影響
 調布市に最も近い気象庁の観測点である、府中市の1月2月3月の平均気温を対象に、過去45年間の変化をグラフにしてみました(データがそろうのが1977年以降のため)。毎年、かなりの変動があり、1984年の寒冬(2月に1℃、3月でも4.1℃)、2002年3月の高温(10.9℃)、それを大幅に超える2021年3月(先月!)の11.9℃が目立ちます。そして、エクセルの「近似曲線」機能を使って長期的トレンドを線形で表すと、3月の平均気温が45年間に3℃近く上昇したことがわかります。これに比べて2月は2℃程度、1月の上昇は1℃以下です。
 これらのデータ入力はかなりの手間でしたが、足元で進んでいる温暖化の勢いが如実に感じられて、何だか怖くなるほどでした。

 このグラフに東京都心の桜開花日を重ねてみました。ピンクの折れ線が下方に行くほど開花日が早いのですが、とくに3月の気温との強い相関関係がみられます。記録的な低温だった1984年には桜開花が4月11日と最も遅く、最も暖かい3月だった今年は最早(2020年とタイ記録)の3月14日です。当地のキンラン開花日にも、桜開花日の早まりと同じ傾向がみられるのではないでしょうか。
 なお、2019~2020年の冬は府中の冬日(日最低気温が氷点下)が25日と(おそらく記録的に)少なかったのですが、2020~2021年の冬は45日と例年並みでした。今年の1月は平均気温は低めで、体感的にも寒かったですね。しかし2月以後はたいへん暖かく、それがキンランの開花を早めたと推測されます。

●早い春の何がいけない?
 地球温暖化の影響は、台風の猛烈化など一部はすでに体験済みで、その深刻さは皆さまご承知です。しかし、美しい花々が2週間早く咲いたところで何が問題なのか?寒さが早く緩み、うるわしい春の訪れが早まるのだから、生きものたちにとっても好都合ではないか?
 ここでは私の観察の範囲で得た限られた情報を基に、この問題を考えてみます。

(1)キンランを通年観察すると、冬季の温暖化が生活史全体に影響しているように見えます。秋に地上部は枯れ、果実が裂けて微小な種子を散布し、冬には姿を消すのが普通でした。ところが近年は、翌春の花の脇に前年の地上部が枯れ残っている例が増えています。しかも、果実が裂けないまま越冬しているものもあります(下の写真左)。
  関連して、冬に地上部が枯れ残った株では、春に地下組織から複数の花茎が伸びて花の数も多くなり、年々豪華な株が多くなっているようです。
(2)当地のキンラン生育地のごく近くで、サガミラン(やはり絶滅危惧種)という、変わりダネのランがみられます。光合成をせず、地下の菌類から栄養をもらって生きる菌従属栄養植物です。だから、葉っぱなどという余計なものはつくらず、夏と秋に花を咲かせ、種子を散布すると、地上部はさっさと枯れてしまう。これがサガミランの生活史のはず。ところが、ここ2年続けて、地上部が枯れないまま越冬し、果実が青いまま残っているのを観察しています(下の写真右)。これを「寒さに負けず、がんばった」と言ってよいのでしょうか。
(3)キンランもサガミランも、種子の散布を終えれば、生活条件が厳しい冬は地上部を「整理」して過ごすという戦略をとってきた。だから、上記のように地上部を残して、種子を撒き散らさないまま冬越しすることは、長い目で見て繁殖にマイナスなのではないか。温暖化によってこれが起きているとすると、生存戦略の変更を迫られるかもしれません。

(左)枯れ残ったキンランの果実 2020年4月19日撮影 
(右)サガミランの果実 2020年3月29日撮影

●ギンランは減少傾向止まず
 昨年は4月29日時点でギンラン(またはササバギンラン)の開花を確認できなかったのですが(その後、少なくも1株確認)、今年は4月23日に3株が花をつけていました。ただ、いずれも互いに離れた場所に生育しており、隣接地の宅地開発で環境が大きく変わる前の第一緑地のような群生は見られなくなっています。

ギンラン(またはササバギンラン) 2021年4月23日撮影

●新しいメッセージ・プレート
キンラン保護のためのプレートをリニューアルしました。
「わたしをとらないでね! 皆さんの見守りで若葉の森にキンランが戻ってきました。キンランは森の木の根っこの菌とつながって生きています。掘り上げられると枯れてしまいます」。
作者は仙川のカフェ「ニワコヤ」の笠原文代さん。(大村)

花とミツバチ

4月の初めに塩山ハイキングに行きました。
あたり1面桃色。しだれ桜も夢のよう。

でも桃の果樹園は受粉作業で忙しそう。
「大変ですね」
「そうなんですよ、昔はハチがいたんだけど今は自分たちでやらないとね」

最近昆虫が減ってきた、と聞いても住宅街に住んでいる者としては「でも住宅街だからこんなものなのでは?」と思っていましたが塩山のようにのどかな田園地帯でもハチがいなくなったというのだからこれはホントに困ったことかも。

数年前に環境市民会議会員の石森さんが「昔このあたりに普通に咲いていた草本植物を増やして、ハチも増やしたい」という意図で「ここはな」という活動を始めました。
ここのところ数人がお手伝いして校庭の隅や佐須の畑の隅を借りてオカトラノオやミソハギ、ツリガネニンジン、ホタルブクロetcを育てています。

先日田んぼの学校(佐須地区)を覗いたらレンゲが花盛り。きれいだなあ、と遠目に見ていましたが、近づいてみるとブンブンとハチが忙しそうに飛び回っている。こんなに沢山のハチあまり見たことありません。
ほとんどは西洋ミツバチのようですが中には少し毛色の違うハチも…。
調布で養蜂されているハチでしょうか?
ここにはここの花、もっと増えるといいな。

今年も田んぼの学校に咲くレンゲ

ハチは忙しく働いていて写せませんでした。
田んぼの学校もここでの活動は今年一杯ということで、とても残念!(鍛治)