2021年7月の雑木林

若葉緑地の会 市道の道幅「復活」に大汗

7月11日(日) くもり 参加者3名

 正午の気温(府中)は29.7℃と真夏日寸前だったが、湿度が高く、熱中症に厳重注意が必要な気象。
 前回も取り組んだ、第3緑地の西側縁辺、大坂の市道路肩に被さっている笹や土を除去する作業を続けた。笹の刈り取りは大方終わっていたので、腐葉土状になって路面に張り付いた落葉の除去が主な仕事。しかし、これは少人数では予想以上に手ごわく、大汗をかく作業となった。通行人も多い道路上なので、マスクは外しにくい。

 写真上でアスファルトが黒く見える部分が、笹などが茂り、土で覆われていた部分。この坂道は、写真左端に見える縁石までしか道幅がなく、しかも車の一方通行規制はされていないので、これだけの路面が「よみがえった」ことの意味は大きい。
 「土になる前に落葉掃除をしていれば・・・」という反省の弁も聞かれた。しかし、落葉の大部分は林縁に列をなすシラカシ大木のもの。常緑樹の落葉はほぼ年中発生するから、掃除は簡単ではない。はて、そもそもこの仕事、道路管理者の領域ではなかったか?

 大坂を挟んで隣接する第2緑地では、ナラ枯れが昨年以上のスピードと規模で拡大している。幸い、第3緑地では今のところ、その兆候がない。第2緑地でナラ枯れ感染状況を調べていたら、ヤマユリが咲いていた。何年ぶりだろう。(大村)


若葉の森3・1会

7月4日の活動は、朝からの降雨のため、中止いたしました。※8月の活動は休みです(夏休み)。次回は、第一日曜日 2021年9月5日(日)の予定です。


カニ山の会 雑木林ボラアンティア講座生と

7月10日(土 ) 晴れ 参加者8名

 行政に頼んでいた北駐車場傍らの廃棄物(伐採枝や草)がやっと搬出され綺麗に片付いていた。
 今日は前回の下草刈りと除伐で出た東端植溜跡樹林の廃棄物を現場から搬出する予定だったが、前夜の雨で搬出ルートのコンディションが悪く人手も足りないのでこれは中止。
 男性陣は前回伐採予定としてテープを巻いておいた先駆樹種などの除伐。女性陣はカニ山キャンプ場北に植えた在来植物まわりと植溜跡樹林の草刈りを行った。

 午後は雑木林ボランティア講座の第2回としてカニ山で安全管理などの実習が行われることになっていたので、講座生のサポートをしながら一緒に東エリアのフィールドで鎌、鋸の取り扱い実習を受けて実作業を行った。(S&K)

講座生もブッシュの下にもぐって草刈り
講座生と共に講師の説明を聞く
立ち木伐採のデモンストレーション

入間・樹林の会

7月18日(日)晴れ

 コロナ禍で参加できなかった1年3か月ぶりのメンバーも参加、11人で植生調査と若葉の森の実生の苗木(ホオノキ1本、カエデ3本)の移植の2手にわかれて活動した。
 方形枠が壊れていて交換用の4つの方形枠を元メンバーが作成してくれたので設置を試みた。林内巡回時に苗木の移植場所を決めた。林内は樹々の葉が茂り陽がささないので、メンバーからも思わず「暗いね」の声がでた。シャガの広場は、ここ1か月でまたヤブミョウガが通路も覆うほど繁茂していた。
 根本さんも花は少ないね、と言いつつ、ヤブミョウガ、マンリョウ、ミズヒキ、ツユクサ、トキワツユクサ、ヨウシュヤマゴボウ、ヒヨドリジョウゴ、ハエドクソウ、ミョウガ、キツネノカミソリ(つぼみ)、ヤブランがみられた。すぐそばの樹々からウグイスのさえずりがバックミュージックとなり気分よくさせてくれた。次回は8月21日(土)(安部)

若葉の森のカエデを樹林地入口に移植
アザミ
ヨウシュヤマゴボウ花
ヘクソカズラ花(NTT研修センター)

若葉町・入間町の崖線樹林で「ナラ枯れ」が急速に悪化

●若葉町では第2緑地コナラの3本に1本に被害
若葉町3丁目第2緑地の「ナラ枯れ」が近くの市道上からもはっきり見えるようになりました(下の写真)。これは、崖線斜面のコナラにも感染が拡大したためです。7月20日現在、第2緑地のコナラ38本(2014年の毎木調査で登録、うち2本は2020年のナラ枯れ感染で伐倒)のうち、13本で葉の枯損が見られ、6本は最悪の「全枯れ」状態です。被害はすでに全体のおよそ3分の1にまで及んでおり、7月に入ってからの急速な悪化の勢いはいまだ収まる気配がありません。
第2緑地では、クヌギ2本とアカガシ1本にも枯損やフラス(おがくず状の粉 感染の徴候)発生が見られます。(※)
(※)衛藤譲二氏(若葉の森3・1会代表)の詳細な調査データに拠る。

↑2021年7月25日 若葉小学校正門前の市道から。ロケバス会社駐車場の直上。
↑2021年7月22日 市立第4中学校の校庭脇の市道上から。

若葉町3丁目緑地の外ですが、実篤公園南側の崖線樹林(「カブトムシの木」の奥、市有地)でもナラ枯れが発生。昨年、感染したコナラが市によって伐倒または強剪定されたが、その隣で発生しました。

●入間2丁目緑地でも被害拡がる
旧NTT研修センター敷地(現在は学校、高齢者施設など)を囲むようにつながる、入間2丁目緑地でもナラ枯れの被害が拡大しています。7月20日現在、同緑地西地区(登録樹木総数282本)で9本、南地区(同前210本)で7本、東地区で(同前515本)で8本のコナラ・クヌギが「全枯れ」またはそれに近い被害を受けています。若葉町3丁目第2緑地よりも、はるかに規模が大きい樹林なので「感染率」はまだ低いですが、警戒が必要です。(※)
(※)衛藤譲二氏(若葉の森3・1会代表)の詳細な調査データに拠る。

●樹液を流して感染と闘っている?
昨年の感染は、第2緑地平坦部に生育していたコナラの老大木2本(樹高24m・胸高直径60~80㎝ほど)の葉が8月に全て枯れたのが最もひどい症例で、これらは倒木の危険と感染拡大防止のため、やむなく伐倒されました。
一方、ナラ枯れ菌を媒介するカシノナガキクイムシ(略称カシナガ)の活動を示す、オガクズ状のフラスが大量に発生しながらも、葉の枯死には至らなかったコナラもありました。それらの多くはこの春以来、樹皮から大量の樹液を出していますが、今年も葉の枯損が始まっていない木が見られます。このように樹液が流出した樹木に枯死をまぬかれた個体が多いことが、複数の論文で報告されています。

参考:ナラ枯れと樹液流出の関係にふれた論文抄録
「多くのカシナガの穿入を受けながら枯死を免れたマテバシイやタブノキの被穿入木では樹幹の表面に樹液の流出跡を示すものが多かった。佐藤ら(1993)も樹液の流出だけが見られた立木は枯死しなかったとしており,当地域においても同様の傾向が示された。」(佐藤嘉一 「桜島におけるカシノナガキクイムシ被害」)「コナラ健全木では、穿孔からの樹液流出跡が半数近くの木に認められたが、枯損木にはほとんど認められなかった(表2)。」(布川耕市「ナラ類集団枯損被害の単木予防技術の効果と問題点」)

●「乾燥」との関連は不明 「壮年」のコナラにも被害
昨年、最もひどい感染状況を示した老大木2本は平坦部に生育し、林冠(林の最上層)から頭を少し出していた個体でした。今年の感染木は、平坦部以外の 南西側斜面にも分布し、それらは斜面部の林冠を形成しています。どちらも日当たりの良い環境と言えます。

日当たりと乾燥が感染しやすくなる要因との指摘もあるようですが、第2緑地は林床にアズマネザサ等の安定的な植生があり、第1緑地に比べて乾燥化が進んでいるようには見えません(あくまで外見上)。 また、今年の場合、樹齢的には老大木とまでは言えない、樹高20m・胸高直径30~40cmクラスの「壮年」期で、互いに近接した個体が枯損しているのが特徴です。

●早期の感染開始 急速な拡大
昨年、ナラ枯れによる枯損に気づいたのは8月下旬でした。今年は6月15日に3本のフラス発生に気づき、まもなく葉が枯れた個体を確認。その後、2週 間ほどで13本が感染、うち6本が「全枯れ」まで悪化しました。昨年7月に はナラ枯れを意識した観察をしていないので、単純な比較はできませんが、今 年の感染と発症がより早く始まり、より多数の個体で急速に進んだことは間違いありません。

●冬から初夏の気温上昇がナラ枯れを助長
ナラ枯れ被害と気象の関係について検討しました。
小林正秀・吉井 優・竹内道也「気象がナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)に及ぼす影響に関する初歩的研究」(2014)は
「1春期の降水量の増大と気温上昇、2厳冬期の最高気温の上昇と,3カシナガの飛翔時期の気温上昇が,ナラ枯れを助長していることが示唆された」(数字は引用者)
としています。
府中の2021年観測データと平年値との比較によって、各要素が該当するかを検討すると、以下のように、①②③のすべてについて、ナラ枯れを助長する気 象条件であったことが判ります。
①については、3月の平均気温が平年値より3.1°C高い「観測史上最も暖かい3月」であったこと、3月の降水量も平年値より30mm近く多かったことから、該当します。
②については、1月2月の最高気温が平年値より高く、特に2月は2.8°Cも高かったこと(平均気温でも1.9°C高)から該当します。
③については、越冬したカシナガが脱出を始めて他の個体に取りつくのは5月下旬から(上記論文)ですが、5月6月とも平年値よりもわずかに高い気 温を記録しています。

また、「カシナガが大量飛翔可能な気温20°C以上の日が続けば,その間は継 続して集中的な穿入を受けることとなり,枯死本数が増加すると考えられ る.」(上記論文)という、20°C以上を記録した日は、5月下旬から6月のほぼ毎日(5月27日の最高気温19.8°Cが例外)です。したがって、③も該当します。

●地球温暖化が主な要因
当地のナラ枯れ発生について、気候変動の影響と即断することには慎重であり たいと考えてきましたが、上記の気象との関係の検討や、下記の記事に紹介さ れた北米における、アメリカマツノキクイムシによる被害の拡大状況を参照す ると、温暖化による地球レベルの森林破壊とつながっていることを、意識せざ るを得ません。
「気候変動 瀬戸際の地球 消える北米の森」(ナショナル・ジオグラフィッ ク日本版2015年6月号)、「カナダ西部の気温を上げるアメリカマツノキク イムシの大群、英科学誌」(サイエンス・ニュース〔ブログ〕2012年11月27日)
7月18日にBS朝日で放映された「SDGsスぺシャル グレタ・トゥーンベリ気 候変動の最前線をゆく」でも、温暖化の影響で増加したキクイムシによってカ ナダの森林が大きな被害を受けていることが紹介されました。 もちろんナラ枯れ拡大については、「燃料革命」以後、都市部の樹林が更新さ れなくなって樹齢の高い木が多くなったことも主要な要因のひとつとされてお り、複合的な要因があることに留意が必要です。

調布市内の他の緑地でも「ナラ枯れ」感染が拡大しているようです。 状況の記録と情報共有、それに基づく研究機関・行政・保全団体などが手を結 んだ対策の検討と実行が急務です。

大村 哲夫
(若葉緑地の会/ちょうふ環境市民会議)