2020年4月の雑木林

新型コロナ対策で活動中止

 新型コロナ感染拡大防止策が各方面で進むなか、緑と公園課から雑木林連絡会構成団体宛てに「市民団体による崖線樹林地保全活動についても、5/6までの活動の中止をお願いいたします。」との電子メールが4月13日に届きました。

これより先に活動日があった若葉の森3・1会(4月5日)は活動を実施、カニ山の(4月11日)若葉緑地の会(4月12日)は自主的に中止。その後に活動が予定されていた入間・樹林の会(4月19日)も活動を中止しました。


若葉緑地の会 金蘭爛漫

 定例活動日の4月12日は自主的に活動を中止しました。その前日(11日)には最初のキンラン開花を確認。以下、当会のフィールドである若葉町3丁目第3緑地だけでなく、同第1緑地・第2緑地も含む「若葉の森」について記します。

 2015年以降、「若葉の森」でのキンラン開花を大村が確認した日は、今年の4月11日と2018年の4月8日を除くと、いずれも4月20日以後。温暖化で開花が早まっているとは、簡単には言えません。ただ、10年ほど前には黄金週間いっぱいは見ごろだったのが、盛りが少しづつ早まっているとの印象があります。

 下の写真は29日撮影です。連休序盤でここまで満開なので、「花見」はお早めに。今年の特徴として、去年の果実や葉が枯れ残っている株が多く、そうした株では花付きが良く豪華です。なおギンランについては地上茎の出現を数か所で確認していますが、29日現在、開花には至っていません。

サガミランが越冬

 サガミラン(※)は光合成をせずに地下の菌類から水や栄養をもらう菌従属栄養植物(かつては腐生植物と呼んだ)。「若葉の森」では6月頃から出現して花を咲かせ、秋に果実(蒴果=さくか)が裂開して種子を散布、冬には姿を消すと私は見てきました。

 ところが2019年秋には10月中旬になっても新しい花が咲き(同時に果実も見られた)、真冬の1月を過ぎ、3月末の春雪の日に至っても果実は緑色で裂開せず、ようやく4月下旬になって、枯れて裂開しました。これほど種子散布のタイミングが遅れると、サガミランの生活史に狂いが生じるのではないでしょうか。

 ちなみに府中の冬日(最低気温が氷点下の日)日数を直近6回の冬について調べると、平均41.2日です。ところが2019ー20年は25日で、冬日が極端に少ない冬でした。

(※)かつてサガミランはマヤランと同種で白花のものを指すとされたので、別種と考えるときはサガミランモドキの和名が用いられた。 

 しかし、遺伝子研究によってサガミランとマヤランは別種と分かったので、和名はサガミランに統一された。

 写真の撮影日は、左上から右下へ順に、2019年10月13日、2020年1月12日、同3月29日(雪の日)、同4月25日。

(大村哲夫)


若葉の森3・1会 キンランが開花

4月5日(日)晴 参加者8名(子ども1名を含む)

2グループに分かれ、第1、第2緑地間階段補強工事(段差が大きく上り下りしにくいので、補助ステップ7本追加)と、第2緑地から大坂の道路にはみ出したササ刈りを並行して行った。1年ほど前に種駒を植えた榾木からシイタケが顔を出した。

第2緑地のキンランは、順調に育ち、4月20日頃から開花し、4月末には一面お花畑。

ジュウニヒトエが開花。トラツグミの鳴き声が聞こえる。

(NOK)

キンラン(左:4月5日)(右:4月28日)
キンラン群生と注意札
ジュウニヒトエ
前:榾木とシイタケ。後方:竹柵(枝落としした竹の枝を入れる)
第1緑地と第2緑地との間の階段補強。段差が大きいので、補助ステップ7本追加。
第2緑地から大坂の道路にはみ出しているアズマネザサ刈り

カニ山の会

 4月21日 第2土曜の作業は中止だったので久しぶりにカニ山を覗きました。クズがはびこったり新しい枝が幅を利かせるのはもう少し先。

今年もこんなに沢山可愛いコナラの芽が出ました。
たくさんのクサイチゴが茂り赤いイチゴが楽しみ!

子どもたちが遊ぶ広場の脇には早春にアマナなどの貴重な植物が咲いていたのですがこの春は業者によってあまりにもさっぱり下草が刈り取られ、皆に踏まれて来年はどうなることやら… 保全か活用か難しい問題です。

(鍛治)


入間・樹林の会

 1丁目樹林地は、4月14日、キンラン蕾1株、ニリンソウ、ホウチャクソウが咲いていました。21日にキンラン6株ツボミをつけていました。自然の力は嬉しいですね。ウラシマソウが結構繁殖していました。

(安部)

花の履歴書 57

ヨモギ(蓬)Artemisia princeps キク科

 最近は「摘み草」という言葉が死語になりかけ、野に摘みに行かなくても「春の七草」はスーパーに行けばパック詰めされて売られている。「よもぎ餅」も一年中売られており、季節感と香りがなくなってしまったような気がする。

 ギリシャ神話の女神のArtemis(アルテミス)の名を貰ったヨモギは餅草、艾(モグサ)、指燃草(サシモグサ、サセモグサ、)サセモ、エモギ、タレハグサ、ヤキクサ、ヤイトグサなど数えきれないほど沢山の別名で呼ばれており、これは各地で古くからさまざまな形で利用されてきたからである。

 春先の若葉は草餅や団子、天麩羅の材料として、夏には燃やして虫よけ、乾燥して葉の裏の綿毛は灸に使われてきた。また、ヨモギは地下茎を四方に広げて伸ばし、河川の土手などの崩壊を防ぐ効果もある。それだけでなく、漢方薬や民間薬として、食べる、飲む、浸ける、香りをかぐ、もぐさにするなど、万能薬として珍重され、日本ハーブの代表的な存在である。

 ヨーロッパには同属のニガヨモギやオウシュウヨモギが自生しており、どちらもハーブとして親しまれ、リキュール(アブサン)にも使われている。

戸部英貞

雑木林ボランティア講座2020 受講生募集!

募集は締め切りました。

調布に今も残る里山の風景や雑木林を、市民と市が協働で保全していくためのボランティア養成講座です。雑木林の理解と、維持管理に役立つ知識と技能を習得します。

新型コロナの影響で残念ですが第1回目の講座は中止します。2回目以降は状況によって判断いたしますのでお申込の方にはメール等で連絡します。また室内での座学もゆとりをもって座れるよう募集定員を減らしました。

  • 対象:18歳以上で野外活動ができる方
  • 受講料:1,500円(ボランティア保険500円+テキスト代1,000円)※全6回分
  • 申し込み:4月30日(木)までに「ちょうふ環境市民会議」ホームページの申し込み用フォーム、または info@chofu-kankyo-shimin.org へ
  • 問合せ:環境政策課 TEL 042−481−7086
  • 定員:申し込み順15名

講座スケジュール

  • 第1回 5月16日(土)調布の雑木林(過去と現状)佐須ふれあいの家/佐須地域
  • 第2回 6月13日(土)保全作業の実技と安全管理 佐須ふれあいの家/深大寺自然広場
  • 第3回 9月5日(土)雑木林の生態系(生き物,むし編)佐須ふれあいの家/深大寺自然広場
  • 第4回10月3日(土)雑木林の生態系(植物編)東部公民館/入間樹林
  • 第5回12月5日(土)雑木林の恵みを体験 佐須ふれあいの家/深大寺自然広場
  • 第6回1月16日(土)樹林地見学バスツアー 市内樹林地/東部公民館

※開催時間 午前10時〜午後3時(予定)
※日程等は止むを得ず変更する場合がございます。
※原則、午前は室内講義、午後は野外実習を行います。

主催:調布市
企画運営:ちょうふ環境市民会議