野川に隣接する崖線樹林地
野川の下流域、国分寺崖線の一角をなす、通称「NTT崖線」の斜面地が、調布市に寄付されました。ここは東京都緑地保全地区・世田谷区特別保護区に指定されている「神明の森みつ池」へと続く緑の崖線です。今後1〜2年をかけて生物多様性の観点から専門家による調査が行われ、その後調布市から崖線斜面緑地の活用と保全方法が示される予定となりました。
かつて、今、そして これから
かっては防空壕や雑木林またNTT研修所グランド(以前は電通学園と呼ばれていた)への抜道として、近隣の子供たちの冒険の場所として親しまれていましたが、40年以上前に崖線斜面地がフェンスで囲まれてしまい自由に出入り出来なくなり、結果として比較的自然の状態のままの樹林地帯となっています。
一方ここ数年、土地開発が進み当該地も例外では無く、緑が無くなる状況( マンション建設計画)が出てきたことから、近隣の地元住民による緑を守る活動が始まりました。 崖線の緑から野川の水辺までの自然を親しみ、そして守る街づくり活動として「入間町・緑につつまれた街づくりの会」が発足し調布市と一体となって活動を進めてきました。(2016年民間マンション完成)
活動が進む中、所有者であるNTT東日本(株)社の理解と賛同が得られ2014年に緑地として保全される地区計画が決定され、その後、昨年2015年に斜面地部分が調布市に寄付されるに至ったものです。
この崖線斜面地の高木は猛禽類の営巣や渡り鳥の中継地点でもあり、樹林地帯は野鳥や動植物昆虫類のサンクチュアリとしての自然が確保され、また自然とのふれあいの場所としても今後活用・保全が期待されるところです。(WO)
7月24日の視察
手始めに現状を知るための視察(緑と公園課)に環境市民会議のメンバーが参加しました。NTT敷地周りの寄付された斜面地は幅もまちまちで一見するとさほど広いようには見えませんが、合計すると2・4ヘクタールほどになるそうです。当日は東に隣接する入間公園から植物などを観察しながら一周しました。(NK)
写真は、大規模マンションの敷地にNTTの社宅が点在していた2008年3月の状況。崖線斜面まで下刈りが行き届いています。
現況 に比べて、気持ちのよい雑木林ですが、生物多様性という点からはどうでしょうか。
ここの樹林の保全 にあたっては、大規模マンションが近接するエリアとそうでないエリアに分けて手の入れ方を変えるなどの工夫が必要のように感じました。それにつけても、マンションの住民や、崖上に今後できる学校や老人施設関係者に樹林保全の活動に参加してもらうことが大切と思います。(TO)
リポート:WO/NK/TO ※ちょうふの自然だより136号参照(編集部 )