チガヤのこと
「小さい頃はこれの穂が顔を出すと、ガムのかわりに噛んでたわ。」という年配の方は多いが、甘い物が豊富な近頃の子どもはそんな経験は無いだろうか。
多摩川土手も帰化植物であるセイバンモロコシが幅を利かせるようになったし、常に刈取られるために綿毛を見る機会も少ない。
近年は多摩川土手の手入れ(刈込)が行き届き、調布地域では充分なチガヤを手に入れることができず、府中方面へ刈りに行っていたそうだが、今年はとうとう神社の裏で育てたとのこと。
6月25日「夏越大祓式・茅の輪神事」(なごしのおおはらえしき・ちのわしんじ)が、布多天神境内で行われた。
半年間の罪穢れを祓い無病息災を祈るため、チガヤを束ねた大きな輪を神前に立てて、左、右、左と八の字状にくぐって廻る。
(※神道の儀式-つみけがれ-はらい)
写真左がチガヤを刈り取ったあとの小さな萱場。イラストは典型的な盆棚飾り。笹竹にわたす縄のチガヤも土手で調達するのが難しなってきた。
神代植物公園近くの22森にもチガヤが繁茂するため「盆飾りに」と地元農家の方が刈りにくることも。敷物につかわれるマコモは多摩川のワンドのあたりに群生している。(レポート鍛冶)
チガヤ(茅萱)イネ科=チ、チバナ、ツバナ
河川の土手や日当たりの良い法面に多く見られるチガヤは、北海道から琉球諸島、さらにはアジア大陸中西部、アフリカ、オーストラリアまでの広い範囲に自生するほか北米にも帰化しており「世界最強の雑草」とされている。『萬葉集』にも数首が詠まれている。
(戸部英貞 花の履歴書より…ちょうふの自然だより130号を参照)