2021年4月の雑木林

若葉の森3・1会 春の息吹を感じる

4月4日(日)曇りのち小雨 参加者7名

 気温23℃の温かい天候の中、イヌシデやコナラの若葉、コナラの実生などの美しい萌黄と、キンラン、ジュウニヒトエ、西洋タンポポなどの花々に囲まれての作業となりました。

●第二緑地のキンランが、例年よりもずっと早く咲き始めていました。キンランに会える季節は、やっぱり嬉しいですね。

キンラン咲き始める

●国分寺崖線上にある若葉の森には斜面が多く、土が斜面を流れ落ちてしまうことが問題です。第一緑地中央のコンポストに竹の柵を追加して囲いの面積を広げ、落ち葉や枝で流土を防ぎます。

コンポスト柵の拡張

●六別坂落ち葉掃き。イヌシデの花穂、シラカシの落ち葉に、春の訪れを感じました。

六別坂落葉かき

●第二緑地の竹林は、現在保全中。竹の枝や葉を使った柵を設置した他、たけのこを取らないように張り紙をしました。たけのこって「竹の旬」と書くのですね。なるほど。

竹林保全中 筍採らないで

●調布市・崖線樹林地ガイドマップ「もりのちず」入間町・若葉町編の最新版が出来ました。地域の皆さんに森に親しんでもらえるよう、近隣の学校などに配布していきます。

もりのちず 最新版ができました

カニ山の会 新会員参加で作業が進む

4月10日晴れ 参加者14名

 今年度からの参加者4名、計14名と久しぶりの大人数なので、2班に分かれて作業をしました。1班は東樹林上段の落葉を下段におろし、搬出しやすい入口近くに矩形に杭を打ち新たな落ち葉溜めとし、その中に山積みしました。今後は随時、公有地となった田畑に活用してもらいます。

新会員も加わって作業準備
落ち葉だめ作成

 2班は東樹林東の伐採跡の実生木林の下草刈りとアカメガシワ及びクワの幼木の間伐をしました。前回発見したミミガタテンナンショウ又はウラシマソウと思われる葉が大きくなっていましたが、花は来年でしょうか。

ミミガタテンナンショウ?

 午後は落ち葉溜め作業の続き。それとキャンプ場北、ダイオウショウ根元のホタルブクロ小群落が、カニ山利用者の増加や今年2月の市による林床清掃の結果、通行人に踏まれる恐れがあると思われるため、雑木林苗育成地(ドングリの森)の囲いの中に移植し、ロープも張り直しました。(鍛治)

ドングリの森のロープ張り直し

 作業後の振り返りで新会員から作業実施計画や落ち葉かきの程度について質問があった。今までの会員からも「(市は)やり方、実施範囲についてきちんと検討してやっているのか疑問」「作業の意味や位置づけを把握できない」「市の仕事の下請けをやっているだけ?」という言葉も聞かれた。
 今後、市に対しては、中長期的な要望や要請を示して協議ができるよう、また会員や活動に関心を持つ市民に対しては、活動の中身や意義・スケジュールや作業内容・その他関心対象、も含めカニ山の会として具体的に示せるものを作る必要があると考えた。(小林)


入間・樹林の会

4月18日(日) 晴れ 参加者9名

 爽やかな日、1年ぶりに地域福祉センターに集合し樹林地へ向かった。林内巡回をし、ツバキの森では、伐採木を決め少しずつ自分たちで切っていくことにした。新緑が美しかったが、樹林地内は葉が茂ってきて暗くなってきている。ツバキの森からシャガの広場への途中でキランソウ・ジュウニヒトエが花を咲かせていた。ニリンソウやウラシマソウの盛りは過ぎていたが花を確認できた。ウラシマソウは林内で増えてきている。雑木林広場ではキンランが立派に花をつけていてみんなで年2回の下草刈りの成果だと喜んだ。通路下の広場では、思わず踏みつけそうなギンランを発見し2株を確認した。4つの全ての方形枠でも種数が増加、植生調査でシャガの広場で51種、雑木林広場で41種といずれも2月より種数が増加していた。最後に坂道清掃を行い作業を終えた。(安部)

立派なキンラン
キンラン群生
ジュウニヒトエ
キランソウ
リョウメンシダ
ニリンソウ

若葉緑地の会

4月11日(日)晴れ 参加者4名

 3月下旬から4月初めに気温が平年値を上回る日が続いたが、5日以来、朝の最低気温が5~6℃の日が多い。この日正午の気温16℃も3月の活動日よりも1℃低く、少し肌寒い。第3緑地でも、いつもの場所でキンランが数株開花。第2緑地と同様に例年より10日前後は早い開花だが、朝の低温で縮こまっている感じ。第3緑地上段の「桜広場」では八重桜(カンザンという品種と思われる)が見事。ソメイヨシノは3月中に終わってしまったが、少し花期が遅いこの八重桜はまだ満開状態で、周りの新緑と美しいコントラストをなしている。

第3緑地のキンラン
第3緑地 八重桜
崖線斜面の伐開作業

東側住宅地に接する崖線斜面がブッシュ状になっていたので、ひさしぶりに伐開作業を行った。(大村)

伐開作業が終わった崖線斜面

2021年 若葉の森のキンラン

大村 哲夫(雑木林連絡会/若葉緑地の会)

●最も早い開花
「若葉の森」(若葉町3丁目の国分寺崖線樹林)では4月4日にキンランの開花を確認しました。昨年(2019)は4月11日、一昨年(2018)は4月8日、それ以前の2015年までは4月20日以後に開花を確認。私は10年あまり当地のキンランを観察していますが、大づかみに言って、10年前は大型連休中がキンランの「花見」シーズンだったのが、ここ2、3年は10日から2週間も早くなっている感じです。今年は連休初日の29日現在、学生寮脇(開花がいつもやや遅れる)を除いて、花はほぼ終わっています。

キンラン開花確認 2021年4月4日撮影
ほぼ満開 2021年4月10日撮影
満開 2021年4月19日撮影

●3月の気温が開花時期に強く影響
 調布市に最も近い気象庁の観測点である、府中市の1月2月3月の平均気温を対象に、過去45年間の変化をグラフにしてみました(データがそろうのが1977年以降のため)。毎年、かなりの変動があり、1984年の寒冬(2月に1℃、3月でも4.1℃)、2002年3月の高温(10.9℃)、それを大幅に超える2021年3月(先月!)の11.9℃が目立ちます。そして、エクセルの「近似曲線」機能を使って長期的トレンドを線形で表すと、3月の平均気温が45年間に3℃近く上昇したことがわかります。これに比べて2月は2℃程度、1月の上昇は1℃以下です。
 これらのデータ入力はかなりの手間でしたが、足元で進んでいる温暖化の勢いが如実に感じられて、何だか怖くなるほどでした。

 このグラフに東京都心の桜開花日を重ねてみました。ピンクの折れ線が下方に行くほど開花日が早いのですが、とくに3月の気温との強い相関関係がみられます。記録的な低温だった1984年には桜開花が4月11日と最も遅く、最も暖かい3月だった今年は最早(2020年とタイ記録)の3月14日です。当地のキンラン開花日にも、桜開花日の早まりと同じ傾向がみられるのではないでしょうか。
 なお、2019~2020年の冬は府中の冬日(日最低気温が氷点下)が25日と(おそらく記録的に)少なかったのですが、2020~2021年の冬は45日と例年並みでした。今年の1月は平均気温は低めで、体感的にも寒かったですね。しかし2月以後はたいへん暖かく、それがキンランの開花を早めたと推測されます。

●早い春の何がいけない?
 地球温暖化の影響は、台風の猛烈化など一部はすでに体験済みで、その深刻さは皆さまご承知です。しかし、美しい花々が2週間早く咲いたところで何が問題なのか?寒さが早く緩み、うるわしい春の訪れが早まるのだから、生きものたちにとっても好都合ではないか?
 ここでは私の観察の範囲で得た限られた情報を基に、この問題を考えてみます。

(1)キンランを通年観察すると、冬季の温暖化が生活史全体に影響しているように見えます。秋に地上部は枯れ、果実が裂けて微小な種子を散布し、冬には姿を消すのが普通でした。ところが近年は、翌春の花の脇に前年の地上部が枯れ残っている例が増えています。しかも、果実が裂けないまま越冬しているものもあります(下の写真左)。
  関連して、冬に地上部が枯れ残った株では、春に地下組織から複数の花茎が伸びて花の数も多くなり、年々豪華な株が多くなっているようです。
(2)当地のキンラン生育地のごく近くで、サガミラン(やはり絶滅危惧種)という、変わりダネのランがみられます。光合成をせず、地下の菌類から栄養をもらって生きる菌従属栄養植物です。だから、葉っぱなどという余計なものはつくらず、夏と秋に花を咲かせ、種子を散布すると、地上部はさっさと枯れてしまう。これがサガミランの生活史のはず。ところが、ここ2年続けて、地上部が枯れないまま越冬し、果実が青いまま残っているのを観察しています(下の写真右)。これを「寒さに負けず、がんばった」と言ってよいのでしょうか。
(3)キンランもサガミランも、種子の散布を終えれば、生活条件が厳しい冬は地上部を「整理」して過ごすという戦略をとってきた。だから、上記のように地上部を残して、種子を撒き散らさないまま冬越しすることは、長い目で見て繁殖にマイナスなのではないか。温暖化によってこれが起きているとすると、生存戦略の変更を迫られるかもしれません。

(左)枯れ残ったキンランの果実 2020年4月19日撮影 
(右)サガミランの果実 2020年3月29日撮影

●ギンランは減少傾向止まず
 昨年は4月29日時点でギンラン(またはササバギンラン)の開花を確認できなかったのですが(その後、少なくも1株確認)、今年は4月23日に3株が花をつけていました。ただ、いずれも互いに離れた場所に生育しており、隣接地の宅地開発で環境が大きく変わる前の第一緑地のような群生は見られなくなっています。

ギンラン(またはササバギンラン) 2021年4月23日撮影

●新しいメッセージ・プレート
キンラン保護のためのプレートをリニューアルしました。
「わたしをとらないでね! 皆さんの見守りで若葉の森にキンランが戻ってきました。キンランは森の木の根っこの菌とつながって生きています。掘り上げられると枯れてしまいます」。
作者は仙川のカフェ「ニワコヤ」の笠原文代さん。(大村)

花とミツバチ

4月の初めに塩山ハイキングに行きました。
あたり1面桃色。しだれ桜も夢のよう。

でも桃の果樹園は受粉作業で忙しそう。
「大変ですね」
「そうなんですよ、昔はハチがいたんだけど今は自分たちでやらないとね」

最近昆虫が減ってきた、と聞いても住宅街に住んでいる者としては「でも住宅街だからこんなものなのでは?」と思っていましたが塩山のようにのどかな田園地帯でもハチがいなくなったというのだからこれはホントに困ったことかも。

数年前に環境市民会議会員の石森さんが「昔このあたりに普通に咲いていた草本植物を増やして、ハチも増やしたい」という意図で「ここはな」という活動を始めました。
ここのところ数人がお手伝いして校庭の隅や佐須の畑の隅を借りてオカトラノオやミソハギ、ツリガネニンジン、ホタルブクロetcを育てています。

先日田んぼの学校(佐須地区)を覗いたらレンゲが花盛り。きれいだなあ、と遠目に見ていましたが、近づいてみるとブンブンとハチが忙しそうに飛び回っている。こんなに沢山のハチあまり見たことありません。
ほとんどは西洋ミツバチのようですが中には少し毛色の違うハチも…。
調布で養蜂されているハチでしょうか?
ここにはここの花、もっと増えるといいな。

今年も田んぼの学校に咲くレンゲ

ハチは忙しく働いていて写せませんでした。
田んぼの学校もここでの活動は今年一杯ということで、とても残念!(鍛治)