2022年6月の雑木林

若葉緑地の会 猛暑が来る前に

6月12日(日)晴れ 参加者4名

軽く準備体操をしながら樹を見上げると、空が急に狭くなったように感じる。

早春から成長を続けた樹々の枝が伸びきり、葉の緑もいっそう濃くなって、樹間を塞いだのだ。

崖線上段の「桜広場」にはソメイヨシノの古木が6本あるが、生命感あふれるこの季節には、その「老化」が痛々しく感じられる。幹の傾斜がだんだんひどくなり、黄信号という「胴吹き」の枝がたくさん出ている。今年は、新葉がほとんど無い木が1本ある。

この状態では台風シーズン(2018年台風24号によって大木が倒れた)が心配と話していたら、太い枝が折れて落下しているのを、6月30日に発見。6月24日から26日にかけて瞬間最大風速が10mを超える日が続いた(府中の記録)。そのときの被害と思われる。

ほとんど葉をつけていないソメイヨシノ

東側の住宅地に接する崖線斜面の辺りは、毎年この時期、ヨウシュヤマゴボウ、タケニグサ、アカメガシワなどが茂ってブッシュ状になる。今年も伐開作業。6月でも相当に汗をかくが、この仕事を7月に持ち越すと、猛暑のなか危険なことになる。

すっきりした崖線斜面(6月30日撮影)

先月紹介したタチツボスミレ/マルバスミレの果実はほとんどが裂開して、種子を散布したあとだった。蟻さんたちによって地中に運ばれた種子は、来春までしばしの眠りについているはず。

裂開したタチツボスミレの果実

6月の活動日12日は最高気温が26.5℃だったが、26日からは連日35℃超えの猛暑日となった(府中)。

36.9℃を記録した30日の朝、早くも熱気が立ち込める林を歩くと、木下闇にヒメヒオウギスイセンの花色が鮮やか。

「もう真夏だな」と思いつつ、どこか違和感がーーこの暑さなのに、蝉が鳴いていない!。

調べてみると、東京ではニイニイゼミ、アブラゼミなど夏蝉の初鳴きは、7月中旬以降のことが多い(※)。

6月中のベラボーに急な「真夏」の訪れに、蝉たちの「目覚め」は間に合わなかったのだ。

※気象庁は、桜の開花日がよく話題になる「生物季節観測」のうち、動物の観測を2021年度から廃止。これに気象予報士の森田正光さんらが抗議した。     

ヒメヒオウギスイセン

(大村)


若葉3・1会 梅雨の晴れ間の作業

6月5日(日)曇り時々晴れ 参加者5名

●梅雨の晴れ間の第二緑地の様子。日当たりもよく、コナラやクヌギの若葉が茂り、枝もよく伸びています。ナラ枯れ対策のため、コナラやクヌギの幹には「カシナガトラップ」を取り付けて虫の捕獲を試みています。

●こちらはナラ枯れの原因となるカシノナガキクイムシを捕獲するための「カシナガトラ ップ」。2022年5月19日に仕掛けたトラップを外してみたところ、第一緑地で 149頭、第二緑地で219頭の捕獲が確認できました。

●今日取り付けたばかりのトラップに、数十分の間にすでに10頭程度カシナガが掛かっ ていました。元気なコナラが集中攻撃(マスアタック)されている様子が分かります。

●第二緑地の住宅との境界は、見事に藪化していました。タケニグサ、アカメガシワ、孟宗 竹を中心に剪定・伐採を行いました。この季節ですから、また来月には再びブッシュになり そうです。

●剪定後の枝葉は、第一緑地中央裸地のコンポストの柵にも利用しました。ニホントカゲ がスルスルっと柵をすり抜けていきます。動物・昆虫の住処として活用されて嬉しいですね。

(内堀)


カニ山の会 トラップチェックも欠かさずに

6月11日(土)曇り 参加者13名(公園課職員1名を含む)

5月の活動日が雨天だったこともあり夏草の繁茂が更に進んでいる。今日はとりわけ目立つ東樹林東の住宅地に隣接しているエリアの草刈りに専念することとした。

刈草の処分については会メンバーのみの労力で市役所担当課の指示通りに行うのは無理もあり、本日の作業は草刈りに徹し、刈草の搬出廃棄はせずエリア内にまとめて放置(山積み)することにした。

午前中は13名もの人数で行ったが、やはり斜面下部、西園路境界などまだやり残しも見られる。一応会としての作業は午後もあるが、各人様々な都合もあり昼食後残ったメンバーで刈草を集め西側に山積みした。

山積みした数日後はだいぶカサが減っていたが、これだけの量を置いておくには場所が必要。

住宅に接する場所は特に景観や陽当たりに配慮し、塀沿いの樹木は伐採するようにしており、そこに「ここはな」の会員が在来種で花の咲く野草を育てるようにしている。今回はホタルブクロがすばらしく、満開。

昼休みにカシナガトラップのチェックをしたところ、東樹林内にも500匹以上がかかっているトラップがあり、数人は後片付け作業の代わりにトラップチェックを行い、ここ数日でカシノナガキクイムシの活動が急激に増加していることを確認した。

今日は職員の方に参加してもらったことで、作業の実態を知っていただけたのは良かった。今後も他の職員の方にも参加していただいて、よりよい協働の方法を見つけていきたい。

次回は土砂流れで少しずつ崩れている通路の杭打ち土留め作業を行いたい。そのためには足場の悪い狭細路用のキャリーが欲しい。また動力使用の刈り払い機も使わせてもらいたい、など行政への要望もあるがボランティア団体間の話し合いも必要となる。

(S&K)


入間・樹林の会

6月19日(日)晴れ 参加者6名

はじめに5月に設置したトラップの様子を確認した。1本のシラカシの木の周りをカシナガキクイムシが飛び回り、フラスが散乱していたので、殺虫剤を撒いてみたら効果もあった。トラップ8か所のうち、3か所に虫が入っていた。カシナガブロックを塗布した木にもフラスが散乱していた。坂道の水留め柵設置班と雑木林広場のアズマネザサ刈りの2手に分かれて作業した。

アズマネザサは何度も刈っているので柔らかくなっていて刈り取りしやすかった。アジサイは今年よく咲いていた。花はアジサイ、ドクダミ、ムラサキシキブ、ドクダミの白い花が目についた。

ムラサキシキブ花
アジサイ
カシナガキクイムシのフラス(シラカシ)
伐採した切り株にキノコ
ヘビの子
アズマネザサ刈りの様子

(安部)

2022年5月の雑木林

若葉3・1会  萌黄の若葉の森

5月1日(日)曇り時々雨 参加者8名

  • 第一緑地の中央は日当たりがとてもよく、落葉樹・常緑樹ともに黄緑の若葉が茂っていま した。木の根元には、ケヤキの実生がたくさん。春の息吹を感じます。
  • 六別坂には、シラカシなどの常緑樹の葉が両端に積もっていました。連日の雨を吸った葉 が重くて、かき集めた葉を落ち葉溜めに運ぶのも重労働でした。
  • 第二緑地の住宅との境界に生い茂った、孟宗竹やアカメガシワなどを伐採・剪定しまし た。竹は若くて柔らかいうちに切ると、作業が楽です。
  • カシナガキクイムシの侵入を防ぐために薬剤を塗られたコナラ21本から、無事に緑の若 葉が出ているのを確認しました。今年もナラ枯れの発生に備えて、わたしたちでも出来る対 策を継続していきます。
  • 5月の森は、春の花でいっぱいでした(キンラン、ギンラン、タツナミソウ、ハルジオ ン、ジュウニヒトエ)。キンランは去年よりも株の数が増えて、150株以上ありました。

(内堀)


カニ山の会  定例作業は中止でしたが

5月14日(土)雨→曇り

予報では10時頃から雨がやむとのことだったが、当日9時になっても雨はやまず、足元も悪いことから会としての活動は中止とした。だが午後は有志で土留め用の杭を作ることにする。男性3人で2本の斧を交代に使いながら作成。

近隣から頂いた伐採木のうち適当な物を選び、片方の先を斧で削いでいく。慣れるまでは思った場所に命中させるのもなかなか難しいし、力も必要。今までにコツコツ作った物と合わせ100本近くを準備できた。お疲れ様~

女性2人も顔を出したが、杭作りは難しく、作業区域の見回りをした。東樹林の方を回ってみるとちょうどエゴノキの花が終わる時期。薄暗い雑木林の中を明るくしてくれる可憐な花だが散ったようすは桜にも負けない華やかさ。

その先ではスイカズラがキンギンカの別名通り、白とクリーム色に咲き誇り、カタツムリはユズリハの上をお散歩中。モミジイチゴは食べごろのようだが、これは鳥さんに残しておくとする。

次回の作業は太い横木と今日作った杭を使って東樹林地園路の補修をする予定。

5月25日(水)4/30に設置したカシナガトラップを数人で何度か見廻っていたが、とうとう…。キャンプ場カマド周辺にしかけた5本の樹木のうちのクヌギとコナラの2本に計9匹のカシノナガキクイムシを発見! 

そろそろシーズン到来か。今回は昨年より少しでも被害を減らしたい。(K)


入間・樹林の会

5月15日(日) 曇り 参加者12名

久しぶりの一時帰国のメンバーの参加や慈恵医科大学の看護学生ボランティア参加3人を含め参加者12人だった。

ゴミ拾いでヘルプに入った特別参加のIさんも加わり、にぎやかで活気のある活動となった。初めに樹林内を案内してもらったが、Iさんは虫などの生き物に詳しいので、生き物に関心のある学生ボラたちへの説明も丁寧にしてくれた。彼女たちはカマキリの卵やクモをみても手に触るなど怖がりもせず楽しんでいた。カブトムシの幼虫も探していたが見つからず残念そうだった。

坂道清掃、雑木林広場での咲いたギンラン8株の保護柵づくり保護柵づくり、アズマネザサ刈り、カシナガキクイムシのトラップの取り付けなどを学生ボランティアには行ってもらった。メンバーからは、若い人たちの参加で活気もうまれて楽しかったとの感想が寄せられた。花はガマズミ、ドクダミと白い花が目についた。

樹林地内で観察
説明をきく
学生ボランティアがアズマネザサ刈り
トラップ取り付け
何これ?くも?
ガマズミ花

(安部)


若葉緑地の会 足尾の緑再生のために

5月8日(日) 曇り 参加者5名(他にオアシス会から6名)

栃木県・足尾銅山周辺の山に緑を復活させる活動をされているオアシス会の皆さんが、およそ6年ぶりに来訪。第3緑地の林床で木の苗を採集された。樹種は特に問わずに集めた苗は約180本。同会と親しい当会メンバーも手伝い、さっそく荷造りして足尾に送ったところ、現地からたいへん感謝されたとの報告をいただいた。

オアシス会の皆さんと足尾に送る苗

この日は、ケニアに赴任して一時帰国中の当会メンバーが有難いことに「特別参加」。第3緑地と第2緑地の間の坂道「大坂」(市道)の路肩に厚く積もった落葉を除去する「力仕事」の中心になってもらった。シラカシなど常緑樹の落葉が増えているところに、道幅ぎりぎりに通る車のタイヤで落葉が圧着されて路肩をふさぎ、歩行者や自転車が通りにくくなっていた。

大坂の路肩に積もった落葉

前号で紹介した「南広場」のタチツボスミレとマルバスミレの「保護区」を見に行くと、花が終わって草丈が20センチほどに伸び、淡黄色の果実がついていた。よく見ると、すでに割れて種子を散布した果実もある。

スミレ類の種子にはアリが好んで食べるエライオソームという化学物質が仕込まれているため、彼らによって巣に運ばれ、散布されることが知られてる。ただ、種子の全部がアリさんのお世話になる訳ではないだろう。落葉の上に付着したりせず、最初から地面に落ち、土の粒子や水分、微生物に包まれて過ごすほうが冬越しに有利なはず。そこで群落の周りの落葉を手でとり除き、黒々とした土を露出させた。3年前、環境市民会議の先輩からご教示いただいた知恵だ。さて、これらのスミレ群落、来年はどこまで拡がるだろうか、楽しみだ。 (大村)

タチツボスミレの果実

4月30日のナラ枯れ対策(カニ山では)

みのりの家を借りファイルトラップを11組作成。カニ山の樹木への取り付けにあって下記のような観点で行った。

 1度カシナガの穿入を受けた樹は、敬遠される傾向がある。 トラップ取付け対象はこれまでにカシナガ の穿入を受けていない(フラスの見られなかった)樹とする。

 カニ山は被災3年目を迎え、会の調査によればカニ山区域のブナ科の対象木数は約220本、穿入された(フラスの発生した)樹はこの2年で120本以上、全く被災していない樹はもう100本も無い。当初他所から飛来した集団は無垢の220本のうち20本くらいに穿入した。

 2年目の昨年は前年に罹災した20数本の樹から脱出した成虫が100本の樹に穿入した事になる。5倍5倍の倍々ゲームとすると100本から飛び出しても、この森に無傷の樹は100本も無い。この集団にとってこの森のマスは既に小さすぎる状態になったのかも知れない。

 罹患木も関係なし、構わず穿入してここで家族を作るのか。 集団の生存に耐えるマスを探して集団で移動するのか。どういう展開を見せるか注目したい。そのためにも成虫の捕獲状況の変化、フラスの発生状況、穿入孔の計など、目視調査で分かる変化を観察したい。

 カシナガトラップも沢山仕掛けるに越したことは無いが、清掃、水の交換、捕獲数のカウントとメンテナンスが結構大変。 会の能力から推して取付け数は5、6カ所程度が適量と思う。 マスアタックの兆候が見られたら、その樹にトラップを集中し、被災が無いと思われる樹のトラップは外して他に移す、など柔軟に進める。

 観察ポイントは多いほどいいが、メンテの実力を越えては結果何も得られない。従って虫の通り道になりそうな場所で、アタックを受けた樹に囲まれているのに何故か無傷の対象樹木が固まっている場所に4本ずつ2か所とキャンプ場の炉の傍の樹液を出して防戦しているクヌギ(罹患木だがクヌギはこの樹1本だけなので)にも仕掛け、計9本に取り付けた。

 当該樹の腰高あたりに位置を決め、ファイルトラップの背面をタッカーで打ち付ける。 下部シール端を摘まみ上げ衝突版下部と合わせてホチキスで固着する。 受け容器を下から差し込み両端をクリップで止める。 洗剤水を溢れるギリギリまで入れる。 この時期コナラ等の花穂柄が入ってすぐに液が汚れる。その掃除、水替えがかなり忙しい。 捕獲数をカウントするようになれば更に大変になる。 今シーズンはカシナガ対策として、周期的に会員で見まわることにする。(瀬本)